東京ステーションギャラリーで開催中の「宮脇綾子の芸術」展に行ってきました。
宮脇綾子(1905-1995)はアップリケ作家です。初めて聞くお名前。作品も一枚も存じ上げません。
アップリケと聞くとなんだか単純なかわいいものを想像していましたが…
↑こちらのチラシはトマトの断面です。これは全て布を縫い付けています。
布でこれだけ表現できるとは!本当に驚き。
彼女自身は美術教育を受けてはいないそうですが、旦那さんは宮脇晴という画家。
そして息子さんはあの!建築家の宮脇檀さんでした!(こちらもびっくり。そして勝手に親近感^^)
作品の多くは普段の生活で目にしている野菜や草花、魚など。チラシに「見た」とありますが
先ほどのトマトといいその観察力はちょっと尋常じゃないです。
見せ方の発想力も凄い。作品「ガラス瓶の中の野菜」では一本の糸のステッチをガラス瓶の底に入れるだけで立体の瓶を
表現していました。やりますなぁ^^(絵画であれば陰影をつけて表現するのでしょうが)
加えて使う素材も古い布や、例えばを使い終わった布製のコーヒーフィルターを「するめ」にしてしまうなど
アイデアと色彩感覚も抜群。そして遊び心もふんだんです。思わず微笑んでしまう作品もたくさんありました。
綾子の日記に記されていた言葉です。
「他人の心を動かすためには芸術家は探究者でなければならない。
作者が探究すれば見る人も聞く人も読む人も作者と一緒になって探究する(トルストイ)」
会場内は撮影不可でしたので2枚目の干物の写真は購入した図録の表紙です。
最初の訪問は2月の中旬の日曜日。その時は気にならないほどの混み具合でした。23日にNHKの「日曜美術館」でも放送されました。
(さすがNHK)その反響は大きかったようで、2月末の2度目の訪問は館長さんのお話が聞ける平日の朝の鑑賞会への参加でしたが、
その後11時ぐらいに外に出たときは長蛇の列。なんと入場制限をしていました。
東京駅の喧騒の中にあっても常に静かな佇まいの東京ステーションギャラリーさんでの事態ですよ!びっくりです!(失礼ですね)
どこか懐かしくてかわいらしくて、でも度肝を抜くほど素晴らしい作品たちにまた出会ってしまったなぁ。
今回の展覧会の作品は個人所有以外はほどんどが豊田市美術館が所蔵しています。
豊田美術館さんにはぜひ近いうちに展覧会を開いていただきたいです。よろしくお願いいたします。(こまめにチェック)
「宮脇綾子の芸術」展 宮脇綾子のアップリケという芸術の展覧会。会期は3月16日までです。
最後に一枚お持ち帰りができるとしたらどれにしよう?そんなことを考えながら展覧会を巡るのも楽しいですよ。
私の(今回持ち帰る)一枚はこちら。
木曽路の月 1971 (図録より)
白い壁に飾ります。